麻箒(あさほうき)ここのたのしい一人勉強会

自分が勉強だと思ったものを記録しています  「勉強はたのしい」を伝えつづけたいと思います

【2021_04】再読メモ(江國香織『泣かない子供』)

これは蠱惑だ。禁断の実。やめたいのにやめられない、と思いながら本を読んでいるときの興奮は、ほとんど肉体的快楽といっていい。

(62ページ「本を読みたくないとき」より)

 

やっかいなのは、本を読みたくないこと自体ではない。本を読みたいと思う癖がついてしまっていることだ。電車やお風呂や歯医者さんの待ち合い室で、本を読むのがもう習慣になっていて、なにか本を持っていないと落ち着かない(あるいは時間がもったいない)と感じてしまう。

(同ページより)

 

 

江國香織さんのエッセイが、何故だか好きです。

初めて読んだのは、大学生の時分で、ちょっと大人な世界に感じられました。(その感覚は、もうじき不惑を迎えようという今になっても、ずーっと保たれ続けています。)

 

江國さんの小説もエッセイも何冊か持っていたけれど、現時点までずっと手元にあるのは、この本と、この本と対になる『泣く大人』だけです。

 

『大人』の収録作でダントツで好きなのはバターの話なのですが、『子供』の方はこれが好き!という話は思い浮かばず、ただ何年かに一度、ふらりと読みたくなる本です。

 

さて、今回も、ふらり、の、タイミングが来ました。

パラパラとめくる内に出会ったのが、冒頭のくだり。

 

ちょうど娘に絵本を読み聞かせ始めた頃でした。

 

うーん、わかる。

わかる。落ち着かない、もったいない、ような気になる、その気持ち。

 

うーん、でも、本にも助けられてきた身としては、本のある人生に踏み込んで欲しいのよね…。

 

 

それに、たまたま手に取った本(初読でも再読でも)に今抱えている懸念や関心にまつわるエピソードが収録されていると運命を感じたりするのも、本の醍醐味だとおもうのですよ。今回みたいに。

 

うーん、うーん……山もオチもなく、今回は終了!